Do-Clinic

肩の痛み

症状

・肩を動かすと痛い
・うでが上がらない、後ろに手を回しづらい
・夜に肩が痛い
・安静にしていても肩が痛い
・肩〜うでが重だるい
・肩を動かすとひっかかる
・肩がはずれやすい、肩がはずれそうで怖い
肩がこる
肩〜手指へ痛みが走る
肩がはずれた、脱臼後に痛みが続いている

考えられる病名

・肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
・凍結肩
・腱板断裂
・石灰沈着性腱板炎
・変形性肩関節症
・肩関節不安定症、ルースショルダー(動揺肩)
など

ドゥクリニックの診方

​最先端の診断

どの肩疾患でも共通して言えることですが、肩の痛みが出るときは肩甲骨のお皿と上腕骨のボールの位置関係がくずれていることがほとんどです。これを求心性不良といいます。
求心性がくずれる原因として、 ①構造の破綻(腱板断裂や関節唇損傷など)、 ②運動機能の障害(肩甲骨周囲筋機能不全など)などが上げられます。仮に①構造の破綻があったとしても、 ②運動機能の障害を合併していることが多く、運動機能を治すことで症状が取れることがほとんどです。

運動機能とは、筋肉のバランス(筋力低下、柔軟性低下)、使い方(正しい筋活動)、姿勢などであり、それらをリハビリで治すことで改善が得られます。構造の破綻が痛みの原因の場合は手術加療を行ったりしますが、ほとんどすべての症例で運動機能をリハビリで治すことで求心性を獲得でき、症状の改善に繋がります。つまり肩が痛い方のほとんどが求心性不良であり、運動機能の障害が原因なのです。

肩の運動機能に重要なのは、肩甲骨の動きです。そして肩甲骨の動きを出すためには背中の筋肉の動きや脊柱の可動性も必要です。肩だけでなく、全身の動きをみて、痛みの原因となっている部位に対して治療を行っています。

​最先端の治療方法

ハイドロリリース・・・肩関節内に注射をして炎症を抑えるだけでなく、筋肉と筋肉の間や神経部分にエコーをみながらピンポイントで注射をして組織の動きを改善させます。

当院では医師と理学療法士が連携を取り、10種類程度の注射部位を使いわけて効率よく治療が進むようにしています。

適応疾患:肩関節疾患すべて

肩関節マニピュレーション・・・長期間のリハビリが予想される症例に対して、治療期間の短縮を目指します。うで全体に麻酔をかけた状態で硬くなっている関節を広げます。その後集中的にリハビリ加療を継続します。

適応疾患:凍結肩

 

・石灰穿刺吸引・・・エコーをみながら石灰の穿刺吸引処置をしています。

適応疾患:石灰沈着性腱板炎

 

リバース型人工肩関節置換術・・腱板が広範囲に断裂して手が上がらない方の治療方法はよい治療方法がありませんでした。リバース型人工肩関節は、肩甲骨のお皿と上腕骨のボールの位置を入れ替えることで力学的作用を変え、腕をあげることができるようになる画期的な治療方法です。これまで大学病院などでのリバース型人工肩関節置換術の豊富な経験があります。

適応疾患:腱板断裂(広範囲断裂)、変形性肩関節症(二次性)

病名別解説

​肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)

症状・・・肩関節の痛みと可動域制限が起こります。一番つらい炎症期では、夜間痛が強く眠れない、日中もちょっとした動作で激痛が走るなどの症状があります。その後は関節や周囲の筋肉が硬くなり可動域制限が長くかかることがあります。うでを上げたとき最後あたりで痛みが出るのが特徴です。

原因・・・40代以降で、外傷などの誘因なく起こることが多い。また徐々に痛くなることが多いです。詳細な原因メカニズムはわかっていません。近年では、姿勢不良や長時間のデスクワークやスマホ操作などが要因になりやすいです。症状があまり強くない場合には、肩の状態が悪くなってから来院される方が多く、早めの介入で早期改善が見込めます。

治療・・・炎症がある場合には、まず局所の安静と薬の内服や注射による消炎で、夜間痛が取れてから本格的なリハビリへと移行します。リハビリテーションで運動機能を改善させることが基本であり、ハイドロリリースなども行いながら治癒を目指します。適切な時期に適切に管理ができれば、通常後遺症なく治癒します。

​凍結肩

症状・・・肩関節周囲炎の中でも、特に可動域制限が強く出ることがあり、凍結肩と呼ばれます。症状は肩関節周囲炎と同様ですが、全体的に症状が強く出ることが多いです。また関節包が短縮して硬くなるため、治療に時間がかかることがほとんどです。
原因・・・肩関節周囲炎と同様、詳細な原因メカニズムはわかっていません。
治療・・・炎症期には、局所の安静や薬や注射による消炎が中心となり、リラクゼーションに努めます。その後リハビリへと移行しますが、可動域改善には時間を要すことが多いです。その後寛解期という時期がくると徐々に可動域は改善していきます。当院では、治療期間の短縮のために、
肩関節マニピュレーションという新しい治療方法に取り組んでいます。

​腱板断裂

症状・・・断裂の大きさや形態により様々ですが、肩の動作時痛、夜間痛、筋力低下などが生じやすい症状です。特に動作時痛では、動く範囲の中間あたりで痛みが出ることが多いです。炎症により疼痛が強く可動域制限がある場合や、ひっかかりがメインのこともあります。
原因・・・加齢により腱板の変性が進行しているところに、外力や負荷が加わり断裂することが多いです。50〜60代では外傷がきっかけに断裂することが多いです。高齢になると外傷がはっきりせず徐々に断裂に進行することもあります。
治療・・・夜間痛や安静時痛がある場合は内服薬や注射などで消炎処置を行います。リハビリで肩の正常な運動機能を獲得することで症状が軽快する場合がほとんどです。
しかし断裂した腱は自然修復することはないため、若年者では手術加療(
関節鏡視下腱板修復術)を要することがあります。また腱板断裂により関節変形が生じ、腕が上がらない状態が持続する場合には、リバース型人工肩関節置換術を行うこともあります。

​石灰沈着性腱板炎

症状・・・肩関節内に沈着した石灰が原因で炎症を生じ、少し動かしただけでも激痛が生じることが多いです。また慢性期であれば、肩を動かしたときに石灰がひっかかり疼痛が生じることもあります。
原因・・・石灰が沈着する原因はわかっていません。身体のいたるところに沈着することがありますが、肩は頻度が高く、過度に負荷がかかると生じると考えています。
治療・・・炎症が強い場合には、関節注射でステロイドや麻酔薬を注入して疼痛を抑えます。またリラクゼーションポジションをしっかりとることで肩周囲の筋緊張を抑えます。その後リハビリテーションで動きの改善を図ります。石灰の自然吸収が見込めない場合は石灰穿刺吸引を行い、吸収を目指します。

​変形性肩関節症

症状・・・肩関節の軟骨部分が摩耗して消失することで、ゴリゴリとした轢音や疼痛が生じることが多いです。炎症が強い場合には安静時痛が生じ、関節の変形が強い場合は可動域制限が生じます。
原因・・・一次性と二次性に分けられます。一次性で軟骨がすり減る明らかな原因はわかっていませんが、肉体労働や肩を酷使する方に多いと言われています。二次性は腱板が広範囲に断裂することで求心性が保てなくなり、上腕骨位置がずれることで関節適応性が悪い軟骨がすり減り変形が進行します。
治療・・・軟骨のすり減り、関節の変形があったとしても、まずは薬や注射による炎症・疼痛のコントロールや、リハビリによる運動機能の改善を目指します。膝など荷重関節とは異なり、運動機能の改善が図れれば症状が軽快することがほとんどで
す。
リハビリなどを行っても症状が持続する場合には人工関節手術を行うことがあります。一次性の場合は解剖学的人工関節置換術を、二次性の場合は
リバース型人工肩関節置換術をいう新しいコンセプトの手術を行います。

​肩関節不安定症、ルースショルダー(動揺肩)

症状・・・明らかな外傷などきっかけがなくても、肩がずれる感じがしたり、肩をはずれそうな感じがして痛みなどを生じます。若い女性に多いです。
原因・・・明らかな原因があれば脱臼や関節唇の損傷を疑いますが、原因がはっきりしない場合は、もともとの関節の緩さなどが原因で、肩の求心位がくずれることが原因と考えられます。
治療・・・基本的にリハビリで腱板(インナーマッスル)の働きを強めたり、肩甲骨を正しく動かすことで求心位が獲得でき、症状は改善します。

正常な構造

肩は肩甲骨と上腕骨、鎖骨、胸骨で構成される関節です。そして肩は複数の関節が合わさり複雑な動きをする関節です。
肩の一番メインの関節は肩甲上腕関節ですが、肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲胸郭関節もそれぞれが動きます。

関節を動かすのが筋肉です。肩の筋肉は大きくインナーマッスルとアウターマッスルに分かれます。インナーマッスルは腱板とも言われ、深部で関節を安定させて動かすように働きます。そして三角筋などのアウターマッスルで力を発揮します。
腱板は棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の4つから構成されており、肩甲骨のお皿と上腕骨のボールが正しい位置で動かせるようにバランスを取っています。

特に肩甲下筋と棘下筋で前後で挟み込むようにバランスをとり、腕を上げるときは棘上筋でボールを回転させ、アウターマッスルである三角筋で力を発揮します。

肩甲上腕関節以外にもさまざまな関節が動くのですが、その一番の中心は肩甲骨になります。肩甲骨は背中に筋肉で囲まれて浮いているような構造をしています。

上下左右と筋肉に囲まれており、そのバランスでとても複雑な動きをします。
僧帽筋は頭から、広背筋はお尻からつながっており、肩を動かすときは広い範囲の筋肉が関わることがわかります。したがって姿勢などが肩の動きに影響するのです。

そして肩の動きで一番大切なのが、「肩甲上腕リズム」といわれる動きのバランスです。肩は複合関節であり、肩甲上腕関節(いわゆる肩関節)の動きと、肩甲骨自体の動きが一定のバランスで動くことが重要です。
例えば下図のように腕を真上(180度)まで上げるときには、肩甲骨自体が約60度、肩甲上腕関節が約120度動くことで、180度腕があがることになります。つまり肩甲上腕関節と肩甲骨の動きのバランスは2:1となっています。このバランスがくずれると肩の痛みにつながります。肩の治療はこの肩甲上腕リズムを治す治療といっても過言ではありません。

文責:整形外科専門医  道家孝幸