検診の想い
ロコモティブシンドロームの予防が大切
ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)という言葉はご存知でしょうか?
メタボリックシンドローム(通称メタボ)という言葉は聞いたことがあると思います。メタボは生活習慣病による身体の内面の異常を表した総称です。ロコモは運動器の障害が原因で移動機能の低下した状態を表した言葉です。
手足の関節・骨の加齢変化によるものだけでなく、筋肉量の低下や運動習慣の欠如からくる転倒しやすさを表します。ロコモが進行すると介護が必要となり、日常生活、社会参加が制限されます。
健康寿命を延ばそう!
近年健康寿命を延ばそうとする取り組みが多くみられます。健康寿命とは、いわゆる寿命とは異なり、介護などを受けず健康上の問題がない状態で自立した生活を送れる期間のことです。その健康寿命の最大の敵はロコモなのです。
ロコモを予防することが、長く健康でいるために必要なことだと考えます。ではどうしたらいいでしょうか?ロコモは運動機能障害のために移動能力が低下することです。つまりしっかり動ける身体を維持していくことが重要です。
それには運動機能を改善し、運動習慣を作っていくことが一番です。当院での運動機能の改善がそのきっかけになればと思っています。
さまざまなロコモに注意!!
近年、一般的なロコモに加え、「がんロコモ」「こどもロコモ」という言葉も出てきました。がんになると、がん の治療だけしか行わず、運動能力がとても落ちてしまう場合が多いです。また最近の子どもの運動不足は顕著であり、一昔まえでは考えられなかったくらい子どもの運動能力が低下しています。これからの長い人生を健康に生きるためにも、子ども時代から身体を動かす習慣が大切です。そして昨今のコロナウイルス感染により、自粛生活が多くなっています。閉じこもって運動不足になったり、在宅ワークでの仕事環境の変化などから、運動機能が低下している方が多いです。当院ではそのような方を「コロナロコモ」と名付け、「コロナロコモを防ごう!」という合言葉とともに、感染リスクを考慮した上での、運動を推奨しています。それが健康寿命の延伸へとつながると考えています。
運動器の健診という新しい取り組み
整形外科として運動機能をみていると、症状がある方に治療をするのはもちろん重要ですが、「予防」がとっても大切だと思っています。ほとんどの整形外科疾患は運動機能の異常が原因だと思っています。そして運動機能の異常は、筋力の低下や身体の柔軟性の低下、協調した筋活動の異常が原因であり、さらにその原因を考えると、活動性の低下、姿勢の悪化などが考えられ、運動習慣の減少が根底の原因だと考えています。そのために、運動器の健診という新たな取り組みを行っています。運動器健診とは、一般的に小学生が行う健診を指します。しかし大人になると、内科的な健診は行っても、動きの能力の健診は行うことはありません。当院の運動器健診では、運動機能の衰えをいち早く見つけ、適切な運動を心掛け、運動機能を維持して健康寿命の延伸に力をいれてもらいたいと思っています。※2022年6月現在 コロナウイルス感染のため休止して います
運動器の生涯トータルサポート
整形外科が関わる運動器は、生まれたての赤ちゃんから、生涯を終えるまでずっと関わるものです。健康寿命を延ばし生涯動ける身体でいてもらいたい、それがクリニックの想いです。そのサポート としてそれぞれの年代に合わせたサポートを行っていきます。幼少期では、人体に無害な超音波を使った「乳児股関節検診」から、あまり自覚症状の出ない「野球肘検診」などで、疾患の早期発見・早期治療を目指し、幼児運動教室の開催を。青年期ではスポーツ活動のサポート、メディカルチェックだけでなく、成長期に必要な栄養面での介入も。成人期では、企業の「腰痛検診」や、運動習慣を維持し正しい身体の使い方を身につける運動教室の定期開催を行い、また、骨粗しょう症も早期発見・早期治療が重要であり、骨粗しょう症検診を行うことで、骨折の予防に取り組んでいます。老年期では、前述した運動器健診だけでなく、ロコモ予防、転倒予防を目的として、栄養を絡めた運動機能維持を目指し、介護施設との連携なども行っています。さらに、当院でできる検診は整形外科領域以外でも積極的に取り組んでいます。採血でがんのリスクがわかる「がん検診」も行っています。運動機能の低下を防ぐことが、整形外科クリニックの使命と考え、適切な介入でみなさんの健康寿命をのばし、よりよい生活を目指します。